科学技術の先導分野として,航空宇宙工学の一層の進展が期待されています.わが国の航空宇宙業界も,戦後70数年を経て,ようやく追従から抜けて独自の道を歩み出したところです.
このときにあたり,当学会は学会活動を通じて積極的に国際交流や国内の他学会との協力を進め,また学会誌の充実を図っています.
航空宇宙工学という広い分野で,最先端の情報をキャッチするのは難しいことです.しかし当学会には15の専門別に権威ある部門委員会があり,講演会や学会誌のために重要な題目の選別をしています。
会の目的と沿革
日本航空宇宙学会は,航空宇宙に関する学理および応用の研究についての発表および連絡,知識の交換,情報の提供等を行う場となることにより,航空宇宙に関する研究の進歩普及を図り,わが国における学術の発展に寄与することを目的としています.
当学会の前身は,日本航空学会ですが,次のような変遷を経て,今日に至りました.
昭和 9年 5月
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日本航空学会設立 |
18年 12月
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社団法人として登記 |
21年 1月
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終戦により解散 |
21年 2月 20日
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財団法人日本科学文化協会に一切の権利義務を継承 |
22年 3月
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(財)日本科学文化協会は(財)日本応用力学会と改称 |
28年 6月
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航空再開により,(財)日本応用力学会は(財)日本航空学会に改称 |
43年 7月
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(財)日本航空学会は(財)日本航空宇宙学会と改称 |
44年 12月 22日
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(財)日本航空宇宙学会を解散し,社団法人日本航空宇宙学会に改組 |
平成20年 12月 1日 | 公益法人制度改革に伴い特例民法法人へ移行 |
24年 3月 |
一般社団法人日本航空宇宙学会へ移行 |
当学会は,14ヶ国31の航空宇宙関連学会と協力関係にあり,なかでもInternational Committee on Aeronautical Fatigue,International Council of the Aeronautical Sciences,International Union of Theoretical and Applied Mechanicsの日本連絡代表ないしは日本連絡機関として活動しています.
さらにまた,American Institute of Aeronautics and Astronautics(AIAA),The Deutsche Gesellschaft fur Luft-und Raumfahrt(DGLR)とともにInternational Electric Propulsion Conferenceを,毎年,共催するなど,国際的にも活動を行っています.
学会の活動
1.学会誌,和文論文集,欧文論文集の発行(正会員は年会費に含む)
「日本航空宇宙学会誌」(月刊)の主な記事は,技術に関する報告や,各種のテーマをえらんで執筆を依頼した講座,解説,および学会の行事,その他連絡事項をお知らせする会告などで構成されています.
「和文論文集」は会員の最近の研究論文が掲載されています。
「欧文論文集」(季刊)は会員の投稿による原著論文を欧文で発表するもので,世界各国に配布されています.
2. 講演会,シンポジウム,見学会の開催
「年会講演会(4月)」,「流体力学講演会(6月)」,「構造強度に関する講演会(7月)」,「宇宙科学技術連合講演会(10月)」,「飛行機シンポジウム(10月)」,「スカイスポーツシンポジウム(12月)」,「航空原動機・宇宙推進講演会(1月)」など毎年20回程度の各種の講演会(研究発表会),シンポジウム,見学会を主催し,会員の研究発表や交歓の場になっています.
また、国際講演会として「ISTS(International Symposium on Space Technology and Science)」を主催するとともに、海外の学協会と連携し「APISAT(Asia-Pacific International Symposium on Aerospace Technology)」,「AJCPP(Asian Joint Conference on Propulsion and Power)」を共催しています。
3. 調査研究の受託
航空宇宙技術に関する各種の研究調査の委託を受けています
4. 学会賞
論文賞,技術賞,奨励賞,学生賞を設け,年1回表彰を行っています.
5. 科学技術奨励金等の受賞候補の推薦
毎年多くの団体から科学技術に関する表彰者の依頼をうけ,会員の中から適任者を推薦しています.
当学会は,日本学術会議会員の候補者を選定し,および推薦人(会員の推薦に当たる者)を指名する学術研究団体として,日本学術会議事務局に備えた登録簿に登載されています.
学会の組織
1. 委員会
理事会の傘下に,編集委員会,広報委員会,部門委員会,会員委員会 および 企画委員会の常置委員会があり,学会全体の活動について,企画や実務体の活動について,企画や実務を分担しています.
2. 部門委員会
常置委員会の一つである部門委員会は,専門分野により,下記の15の部門に分かれ,講演会・講習会・見学会の企画や運営をしています.
空気力学部門委員会,構造部門委員会,材料部門委員会,機器・電子情報システム部門委員会,飛行力学部門委員会,生産技術部門委員会,原動機・推進部門委員会,航空機設計部門委員会,特殊航空機部門委員会,回転翼航空機部門委員会,航空機運行・整備部門委員会,航空交通管理部門委員会,宇宙航行部門委員会,宇宙システム・技術部門委員会,宇宙利用部門委員会
3. 臨時委員会
海外の関連学科との連絡・協力を行うことを目的として,受託委員会,海外協力委員会,IFAC-SPACE(国際自動制御連盟航空宇宙技術)連絡委員会,ISABE(エアーブリージングエンジン国際学会)連絡委員会,IAF(国際宇宙航行連盟)連絡委員会,ISTS(宇宙技術および科学の国際シンポジウム)委員会,ICAS(国際航空科学会議)連絡委員会,ICAF(国際航空疲労委員会)連絡委員会,APISAT連絡・実行委員会,大学教育検討委員会,人材育成検討委員会,テキスト編集委員会,宇宙科学技術連合講演会連絡委員会,スカイスポーツ委員会,飛行ロボットコンテスト委員会,航空宇宙ビジョン委員会,男女共同参画委員会,宇宙法政策委員会,宇宙ビジネス共創委員会,学会運営DX推進委員会,ジュニア会員制度推進委員会,および航空宇宙技術遺産制度委員会が当学会の臨時委員会として活動しています.
4. 支部
地域的には,中部支部,関西支部,西部支部,北部支部に分かれ,各支部ごとの講演会や懇親会も開催しています.
支部設置
昭和29年3月関西支部設置
33年3月中部支部設置
48年4月西部支部設置
63年4月北部支部設置