会長挨拶

第52期会長のご挨拶

慶應義塾大学 教授
松尾 亜紀子

航空、そして宇宙の新しい潮流と共に新たなるステージへ

第52期の会長就任に当たり、会員の皆様にご挨拶を申し上げます。
栄えある日本航空宇宙学会の会長の職を拝命し、この一年を今後の学会繁栄のための礎とする時期と捉え、職務に勤しむ所存でございます。
2020年の年明けより新型コロナウイルスの情報が中国から報じられ、2020年4月13日現在、全世界で185万人もの感染者、そして11万人を越す死者数が報告されています。日本国としては2020年7月に開催が予定されていたオリンピックが2021年へと延期されるなど、日本国及び国民への衝撃は大きなものでした。そして、日本航空宇宙学会もその余波を避けることはできず、4月16日、17日に予定されていた「第51期定時社員総会および年会講演会」を開催中止することとなりました。この企画だけでなく、学会主催の多くの講演会等が既に開催中止となっており、今後の状況によっては更に中止・延期があるものと思われます。残念ながら、現在、東京都を含む7都府県において非常事態宣言が出されており、事態収束の目処はたっておりません。その中においても日本航空宇宙学会の第52期はスタートいたします。そして、理事会、事務局、会員の皆様が一丸となって学会として取り組むべきことについて考える一年になるかと思います。
ここで、昨今の学会を取り巻く状況について考えてみます。現在、日本の基幹ロケットであるH3ロケットは開発が進み、2020年度中の試験機打ち上げを予定しております。同じく年度中にはH-IIA、H-IIBロケットの打ち上げも予定されており、日本にはイプシロンロケットも用意されていることを考えますと、比較的大型の人工衛星打ち上げには4つのオプションからロケット打ち上げが可能となる見込みです。航空機については、リージョナルジェット機「三菱スペースジェット」が機体の安全性を証明する型式証明の取得へ向け、最終段階に入ったところです。型式証明取得後には初号機の納入へ向けて邁進するものと思われます。また、スペースジェットの完成後には、ラインナップの拡充も予定されており、産業界における日本発航空機の発展が期待されています。以上のように、今日の日本における航空・宇宙分野の前途は明るく、発展の時期であると思います。
当初は予測だにできなかった波乱の第52期スタートとなりましたが、新しい明るい話題もあります。それは、日本における航空・宇宙分野におけるプレーヤーにも新たな流れが生じており、これまでこの分野に関わりのなかった人々newcomer達が参入してきたことです。電動航空機、空飛ぶクルマ、民間によるロケット打ち上げ、宇宙ポート、月観光開発などnewcomer達の興味は多岐に渡ります。日本航空宇宙学会を持続的に発展していく学術団体とするためには、これら新しい潮流を盛り上げサポートすることが必要だと考えています。我が国の航空宇宙の裾野を広げ、新旧の人々の結束を強め、一丸となった発展を目指したいと考えています。以上のように、航空宇宙分野はこれまでの考えにとらわれない新しい発想と取り組みが求められており、その活動を学会としてはサポートしなければなりません。そのための整備を第52期では行いたいと思います。
第52期では以下の重点項目を掲げ、取り組んでいきたいと思います。

1.  新しい部門委員会の立ち上げ
第51期より検討を進めている「他分野との連携」あるいは「新たな分野・研究の開拓」に機動力良く対応できる研究会の立ち上げを目指し、「分野横断・開拓部門委員会(仮称)を立ち上げる。

2. 学会正会員が継続できる環境整備
学会正会員であることの特典を実感でき、継続することの意義を感じられるような取り組みを行うことで、会員の増強を図るとともに会員にとって継続したい学会となる。

3. 航空・宇宙分野のnewcomer人材の取り込み
学会が持つ特徴から、幅広い分野との意見交換と新たな分野からの参入は欠かせない。新しく立ち上げる部門委員会の下に新たな研究会を立ち上げることで、学術団体における活動を推進する。あわせて、積極的な正会員・賛助会員増強キャンペーンを行う。

4.産業界に役立つ学会へ
第51期より進めてきた、産業界の機関(SJAC等)との連携を今後ともすすめるとともに、第51期実施のアンケート結果に基づき今後の方針を定め、一層の取り組みを推進する。

以上4点の重点項目について、理事会がリーダーシップを取りながら会員の皆様との協力を得て議論を進めていきたいと思います。
では、これから1年間、学会のため、会員の皆様のため、我が国および世界の航空宇宙の発展のために理事会メンバーと共に精一杯頑張って参りますので、会員の皆様方からの変わらぬご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。