会長挨拶

第51期会長のご挨拶

渡辺 重哉
Shigeya WATANABE
JAXA 航空技術部門
次世代航空イノベーションハブ ハブ長

「会長就任にあたって」

Diversity × Interaction
– 新たな50年の最初の一歩

第51期の会長就任に当たり、会員の皆様にご挨拶を申し上げます。
伝統ある日本航空宇宙学会の会長を私が務められるかどうか、正直なところ甚だ不安ではありますが、学会に対する愛情だけは誰にも負けないという自負がありますので、その思いを頼りに、第51期の理事の皆様、事務局の皆様と協力して、円滑な学会運営に誠心誠意務めて参りたいと存じます。
今期は、1968年に日本航空学会が日本航空宇宙学会と改名し、「宇宙」を明確に学会活動のスコープに加えてから半世紀の歴史を経て、次の新たな50年のスタートを切る年です。また、「平成」から「令和」に時代が切り替わる区切りの年でもあります。そのような特別な年にあたり、今期の理事会のスローガンを掲げたいと思います。それは、
「Diversity × Interaction - 新たな50年の最初の一歩」
というものです。 Diversity、すなわち「多様性」を内に取り入れると同時に、外との連携により多様なInteraction、すなわち「相互作用」を積極的に起こしてゆこう、という意図を込めたものです。スタートの年ですので、新たな学会の可能性を探して、失敗を恐れず、多くのチャレンジをしてゆきたいと考えています。
このスローガンに従い、今期は以下の四点に力を入れて取り組みたいと思います。
一点目は、「産業界により役立つ学会への改革」です。学会員の所属する組織の区分に関するDiversityとしては、いわゆる産・学・官があり、学会にとってどのセクターも欠くことができないことは言うまでもありませんが、航空・宇宙が工学的な性格を強く持つことを考えると、学や研究機関の創出した研究開発成果を社会に還元する立場にある産業界の役割は極めて重要だと思います。実際、本学会においては、産業界所属の正会員が全正会員の半数近くを占めています。一方、講演会やシンポジウムの参加者や発表者の数を見ると産業界の会員は相対的に少なく、その比率は20年、30年前に比べて減少していると感じます。その理由の一つは、現在の学会が産業界の変化するニーズに対応できていないことであり、是非ともそういう状況を脱却したいと思っております。産業界出身の荻巣副会長を中心として、産業界の皆様のニーズを真摯に伺いながら、どうしたら産業界にとってこれまで以上に役に立つ学会に改革できるのかを考え、具体的な行動に移したいと考えております。
二点目は、「他学会との連携の強化」です。多様化し激しく変化する社会ニーズに対応するためには、異分野や異業種を含むDiversityを持った外部のパートナーとのInteractionを強化し、新たなニーズにフレキシブルに対応できる体制を作っておくことが不可欠です。そのための効果的な手段が同じ学会組織との連携です。航空宇宙に関連する国内の学会、国内の他分野の学会、米国航空宇宙学会(AIAA)等の海外の航空宇宙学会との連携を強化して、変化に強い「開かれた学会」を目指したいと思います。
三点目は、「会員増による学会基盤の強化」です。多くの学会の傾向でもありますが、本学会においても正会員の数がここ数年漸減している状況にあります。学会の価値を維持・向上させるためには、分野、業種、性別、年齢、国などに関する幅広いDiversityを持った会員を多く確保し、会員間のInteractionを通じて新たな価値を生み出すことが必要ですので、その基礎となる会員数を増加傾向に変えて行く努力をしたいと思います。具体的には、ここ数年休眠状態だった会員委員会を再開して、そこを核として会員増に地道に取り組みたいと考えております。
最後の四点目は、「継続性の重視」です。本学会の会長任期は1年と短く、その任期の間にまとまった成果を出すことは困難です。その対策として、大林前会長の提案された取り組みを今期も継続してゆきたいと考えています。具体的には、Diversityの重要要素である「男・女」の共同参画への取り組みがその一つです。特に今期は初の女性筆頭副会長として松尾先生が就任されましたので、男女共同参画委員会を核とした男女共同参画の強化は正に今取り組むべき課題と言えます。また、第50期の重要な成果である「JSASS宇宙ビジョン2050」の学会内外への普及と個別テーマの深掘りにも確実に取り組む予定です。
これら四つの課題には理事会がリーダーシップを取って取り組んでゆきたいと考えておりますが、学会活動の実際のプレーヤーは会員の皆様方です。皆様からのご意見、ご提案を積極的に取り入れながら、「協働」してゆきたいと考えておりますので、是非ともご協力をお願い致します。
では、これから1年間、学会のため、学会員の皆様のため、我が国および世界の航空宇宙の発展のために理事会メンバーと共に精一杯頑張って参りますので、会員の皆様方からの変わらぬご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

わたなべ しげや