会長挨拶

第53期会長 河野 功

仲間が集う日本航空宇宙学会に

第53期の会長就任に当たり皆様にご挨拶を申し上げます。

栄えある日本航空宇宙学会の会長の職を拝命し、誠に身の引き締まる思いです。

昨年はコロナの自粛ムードに覆われた1年でしたが、「はやぶさ2」の回収カプセルの地球帰還は、国民に夢と希望を与える話題だったのではないかと思います。「夢」と言いますと、航空宇宙は夢を実現するために発展してきた分野で、「鳥のように飛びたい」「宇宙に行きたい」という夢が飛行機を生み出し、人類の宇宙飛行を実現したのだと思います。ガガーリン大佐の人類初の宇宙飛行の年に生を受けた私が会長職に選ばれましたのも何かの星の巡り合わせ、我が国の航空宇宙の発展のために微力を尽くす所存です。

当学会は航空宇宙に関する研究者と技術者を中心とする学会ですが、社会の複雑化に合わせて学際領域や多様性を重視し、航空や宇宙を利用した研究やビジネスを考えておられる方や、芸術や趣味での興味をお持ちの方などにも参加して頂き、情報交換や人的交流を図る集いの場を提供できるようにして行ければと思います。

コロナ禍によって航空宇宙も大きな試練にさらされておりますが、「明けない夜は無い」と信じて、afterコロナ時代の航空宇宙業界への貢献の道を探り、社会貢献によって会員である事に誇りを持てるような学会にして参りたいと思います。

会員の皆様が学会に参加し易いように、第52期・松尾亜紀子会長の英断により銀行口座自動引落しの場合は年会費を1000円割引する事に致しましたが、引き続き第53期でも、以下のような会員のためになる取組みを行い、参加し易い、帰属意識と誇りを持てるような学会にして参りたいと思います。皆様の御協力と御参加をよろしくお願い申し上げます。(日本航空宇宙学会誌6月号のご挨拶も併せてご一読頂けますと幸いです。)

1.航空宇宙ビジョンの維持・改訂と提言、新たな研究分野の創出

当学会創設50周年記念事業でした宇宙ビジョンと航空ビジョンについて、新技術やafterコロナ時代の世界情勢の変化を勘案した航空宇宙の将来像、ビジョンとそこに到るための技術ロードマップを検討して維持改訂を進め、航空宇宙の施策に取り込んで頂けるように関係省庁等に提言して参ります。また、水素飛行機と液酸/液水ロケット、航空機安全技術と有人宇宙船の安全技術、ドローンや空飛ぶクルマの実現のためのQZSS(衛星測位システム)の活用などの航空と宇宙の技術の融合研究や、エネルギー/物質循環型の月面基地の研究等により新たな研究分野を創出し、学会としての社会貢献の道を探って参りたいと思います。

2.航空宇宙産業活性化への取組み

日本航空宇宙工業会等の関係学協会との連携を強化し、企業会員の皆様の御意見を伺い、第52期で設立した宇宙ビジネス共創委員会の活動を軌道に乗せる他、afterコロナ時代の航空宇宙産業の活性化への貢献の道を探って参りたいと思います。この活動は航空宇宙ビジョンの維持改訂や新たな研究分野の創出の活動と連携して進めて参ります。

3.発表機会の提供、有益な情報の提供

<論文集>論文集のインパクトファクターを高め、査読期間の短縮に努め、研究成果の投稿先としての魅力向上に努めます。

<学会誌>読んで役に立ち「おもしろい」学会誌にするための取組みをさらに進めて参ります。

<講演会>コロナの収束が見通せない状況ではありますが、オンラインor現地開催にかかわらず講演会で研究開発成果の発表、有意義な議論や情報交換が行えるように努めて参ります。

<Twitter、メールマガジン>さらに、Twitterやメールマガジンなどにより、タイムリーで有益な情報を会員にお届けするように致します。

4.会員の研究開発成果の顕彰

この4月に学会推薦により、会員の研究開発の成果が文部科学大臣表彰や日本産業技術大賞を受賞しました。学会賞の選定に加え、文部科学大臣表彰等のそれに続くさらに権威ある賞に推薦する事で、会員の研究開発の成果の顕彰に努めて参ります。

私は学生会員以来40年近く学会のお世話になっていますが、「本当に日本航空宇宙学会に入って良かった」と思っています。航空宇宙に関連する分野の研究と開発、利用などの技術交流、情報交流の場を提供し、会員の皆様方が参加し易い、帰属意識と誇りを持てるような「入って良かった」と思って頂ける学会にして行く事が、学会への恩返しだと思っています。航空宇宙の仲間が集えるような場にして行きたいと思います。入会をご検討中の方は、是非とも航空宇宙の仲間に入って頂ければと思います。

我が国の航空宇宙の学術、技術の発展、産業界の発展に貢献できる学会にして参る所存ですので、会員の皆様方の御支援、御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。