一般社団法人日本航空宇宙学会
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会長挨拶

 

第48期会長のご挨拶 

澤田 惠介

      東北大学大学院
      工学研究科 教授
      Keisuke SAWADA

    

「そうだ,講演会に出かけよう!」

 

 日本航空宇宙学会第48期の会長就任に当たりご挨拶申し上げます。私がまだ大学生であった30数年前の日本航空宇宙学会は大変な憧れの組織でありましたが,同時に畏れ多くてとても近づけない雰囲気がありました。そのような日本航空宇宙学会の会長を仰せつかったことは大変光栄なことでありますとともに,次の時代にきちんと橋渡しする責任を強く感じています。

 日本航空宇宙学会は正会員約3000名,学生会員約1000名を擁し,年間予算はおよそ1億3000万円からISTS開催時の1億7000万円に及ぶ中規模学会です。しばらくの間,赤字予算を組まざるを得ない時期が続きましたが,前期までの理事会の様々な改善策が功を奏して第47期の決算は黒字化され,第48期の予算も黒字化が達成されています。これによって会員サービスの強化に資金を投入できる段階を迎え,既に過去の会誌,論文集の電子化の完遂や国際会議登録システムの新規導入などが進められています。その一方で黒字と言っても総予算から言えば微々たるものです。学会の財務がこのまま堅調に推移し,新たな会員サービスの投入が継続できるように気を引き締めることを忘れてはなりません。

 これまで各期の会長のリーダーシップのもとに,会員サービスの向上から学会委員会の改編まで大小様々なアイデアが投入されてきました。例えば,日本航空宇宙学会テキストシリーズの刊行が提案され,現在までに2冊が刊行されています。このテキストシリーズ刊行は日本航空宇宙学会に所属する大学教員の知識や考え方を学生やエンジニアの皆さんに伝えるものであり,学会の社会貢献とイメージ向上への効果が期待されています。それ以外にも様々なアイデアが提案され実現されており,さらに有効なアイデアを見出すことは簡単ではありません。私が会長として力を入れたいのは,単純ではありますが講演会やシンポジウムの活性化です。実は第47期の決算が黒字化された最大の要因は講演会収入の増加です。講演会の運営を担当してくださった皆様が黒字化に向けてご尽力いただいた賜物ですが,さらには参加者数が伸びていることも見逃せません。多くの講演会で過去最大規模という声が聞こえています。この流れを確実なものにしていくことがキーポイントだと考えています。

 昨年はMRJが初飛行を果たし,ようやく自社の名前を冠した民間旅客機が50年ぶりに生まれようとしています。小型ビジネスジェットにおいても自社の名前を冠した機体の顧客へのデリバリーが始まりました。防衛省関係では国内開発機としては最大の輸送機の試験が継続されています。またステルス実証機初飛行のニュースも飛び込んできました。長らく産業規模拡大が停滞してきた航空産業は今後大きく売上を伸ばしていく時期を迎えようとしています。経済産業省は既に航空産業の担い手である技術者の確保に向けて,国内の産学と連携して対応策の模索を始めました。この時期に,学会の本来の役割である航空宇宙に関する研究の進歩普及や学術の発展に寄与していくことを見失うことなく航空宇宙産業の隆盛化に貢献していくことが重要です。

 ここ何年間の経験に基づく個人的な心配は,特に航空分野での産と学の結びつきが弱いことです。航空分野は言うまでもなく安全保障技術の中核をなすために学は産の懐に入りにくく,産は情報漏洩を恐れて学を避けてきました。その結果,学は産が求めていることが分からないまま研究を進め,その成果を見た産はさらに学から離れていくという図式となっているように思えます。JAXAは次世代航空イノベーションハブを立ち上げて産学の間を取り持ち,我が国の航空産業力の強化を目指されています。それは学会の目指す所と近いようにも思えますが,学会は会員サービスに努めその結果として航空宇宙産業が活性化されていくような道筋を追求すべきと考えています。そのためには結局,講演会やシンポジウムでの発表を通したレベルアップと直接話し合うことによる情報交換が大切です。あと一歩,産官学が学会主催の講演会やシンポジウムに歩み寄っていただけないものでしょうか。それぞれはただの一歩であっても,お互いの距離は大いに縮まるとともに,講演会やシンポジウムはさらに活性化されます。講演会が活性化されれば会員数も増え,会費収入も増加し,学会が実現できる会員サービスの幅も広がります。

 会長の任期は一年間だけなので,この間に何かを発案してそれを実現することはとても難しいと思いますが,大声で何かを叫ぶことは可能です。「そうだ、講演会にでかけよう!」を掛け声に,理事,監事の皆様のご協力を仰ぎながら一年間学会運営に携わりたいと思います。会員の皆様のご指導,ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

 

(さわだ けいすけ)
 


 

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