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会長挨拶

 

第49期会長のご挨拶 

渡辺 紀徳

      東京大学大学院
      工学研究科 教授
      Toshinori WATANABE

    

「会長就任にあたって」

 

 このたび日本航空宇宙学会の第49期会長に就任致しました.歴代会長の皆様をはじめとして会員諸氏が築いて来られた学会組織の姿と,多くの活発な活動に対し,深い敬意を感じるとともに,今期の会長を務めますことを光栄に存じ,また責任の重さに心を引き締めているところです.

 私の専門分野はエンジンで,これまで原動機推進部門の活動に関わって来ました.航空原動機・宇宙推進講演会では近年参加者が増加傾向にあり,喜ばしいことと思っておりましたが,理事会に参加して,他の部門の講演会でも同様に増加傾向が見られることを知りました.第48期の澤田会長は,講演会に行こう,というスローガンを掲げて参加を呼び掛けておられましたが,そのおかげもあって幸いにも講演会活動が非常に活発化していると感じます.この傾向を是非継続して,学会の基盤的な活動である講演会での情報交換,人材交流を更に盛り上げて行きたいと思います.

 学会の活動は,役員,部門委員会関係者,支部関係者,各種委員会委員など,多くのボランティアの皆様に支えられています.幸いに理事会には今期も多彩で活力のある方々にご参画いただくことができました.ご関係の皆様のご尽力に今から感謝申し上げます.一方,忙しい本務の中で時間と労力を割いていただくことを心苦しく感じますが,できるだけ事務的作業を効率化し,ご負担が少しでも軽減できるよう努めて参りたいと思います.

 ジェットエンジンについて日本の産業界の状況と研究開発活動を見ますと,最近は従来に増して活気を帯びていると言えます.民間ジェットエンジンの国際共同開発ではPW1100G-JMがA320neoに搭載されて2016年から商用運転に入っています.また,従来のA320に搭載されているV2500は出荷台数が7,000台を超え,更に製造が続いています.IHI,川崎重工,三菱重工航空エンジンの3社はそれぞれボーイング787用GEnx,777後継機用GE9Xやリージョナル機用のPassport20,787用のTrent1000,A350用のTrent XWBなどの開発製造に着実に携わり,参画度合いを高めて事業を活発に展開しています.他方,本田技研は独自に小型エンジンHF118,HF120を開発し,ホンダジェットに搭載して飛行を実現しています.防衛エンジンでは,対潜哨戒機P-1のエンジンとして高バイパス比ターボファンF7が純国産で開発され,順調に飛行しているほか,ヘリコプター用エンジンおよび次期超音速機用エンジンも精力的な開発が実施されています.

 航空機・エンジンの研究開発には政府の支援が不可欠で,従来から関連省庁との連携がとられているところですが,2014年8月には文部科学省から「戦略的次世代航空機研究開発ビジョン」が発表されました.この中では航空機産業における日本のシェアを現在の約4%から20%へと飛躍的に増す目標が掲げられています.また,航空産業を国の重要産業として発展させて行く方向で府省連携も進められており,2015年には「基幹産業化に向けた航空ビジネス戦略に関する関係省庁会議」が開催されました.内閣官房副長官補が議長となり,従来の経済産業省,国土交通省,文部科学省,防衛装備庁の関連4省庁だけでなく,総務省や外務省も含めた局長級会議となっています.2015年12月には「航空ビジョン」が打ち出され,完成機開発までを視野に,産官学連携のもと,関係省庁が共通の認識をもって,航空産業の発展に向けて統合的に取り組むとの方針が示されています.

 このような産業界の活動と,政府の支援,そして学術界の基盤研究がうまくかみ合うことにより,ジェットエンジンや航空機の研究開発が大きく進展し,日本主導のプログラムの実現につながって行くことが望まれます.

 今後の航空機・エンジン技術には,従来の関連分野以外の広範な工学分野が必要となります.例えば電動化やIoT活用などを鑑みて,様々な分野の研究者・技術者との交流が益々重要となるでしょう.

 以上のような情勢に対応し,学会は産官学の連携,他分野との連携など,様々な形態の連携を醸成するプラットフォームとしての機能を発揮するよう努めたいと思います.

 また,当学会の特徴の一つは,学生会員の多さだと思います.昨今の社会状況に照らすと,この特徴は非常に価値のあるもので,これを生かして更に今後の活発な学会活動につながるよう,若い人たちの参加度合を高める方策を考えて行きたいと思います.

 これから1年間の任期で,どのくらいのことが実行できるか分かりませんが,会員の皆様のご支援・ご指導をいただきつつ,また学会事務局の強力なサポートをいただきつつ,円滑な運営を進めて参りたいと思います.何卒宜しくお願い申し上げます.

 

 

 

(わたなべ としのり)
 


 

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